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きょうだいゲンカにどう対応している?
皆さんのご家庭では、きょうだいゲンカにどう対応していますか?
ふたり以上のお子さんを育てている皆さんに、一緒に考えていただきたいです。そして、正直に答えていただきたいと思います。
歳が離れている子どもたちがきょうだいゲンカをしていたら、どのような対応をしていますか?
年上のお子さんに、つい「赤ちゃんだから」とか「自分より小さいから」といって譲ってあげてほしいと言っちゃっていませんか? あるいは、心の中でそう思ったりしていませんか?
そういう親御さんは少なくないんじゃないでしょうか。多くのアメリカ人の親たちも、無意識に年上のお子さんに言っちゃっていますが、最近の幼児教育学や家族心理学の専門家たちは「お姉ちゃんだから譲る」や「お兄ちゃんだから譲る」のように、どっちに譲るかを選ばないように強く勧めています。
その理由は、「お姉ちゃんだから」「お兄ちゃんだから」という考え方を子どもたちに教えることによって、
「生まれた順番で人の価値が決まる」という間違った知識を
子どもたちが覚えてしまうことになるからです。
これによって、例えば、年下の子どもが「私は2番目に生まれたから、私の意見なんか誰も聞いてくれない」というふうに思うようになってしまいかねないからです。
子どもの自己肯定感を構築するためには、まず自分には「価値がある」ということを教える必要があります。
そのことは、言葉で教える場合ももちろんありますが、お子さんにどれだけ価値があるのかは、ほとんどの場合、日頃の子育ての中でどう接しているかによって自然に伝わっていきます。
これは、いわゆる「アメリカ流子育て」の基本的な考え方のひとつ、つまり「家族全員(子どもだけでなく)は対等な関係である」ということです。
ここで特にお伝えしたいことは、
年上のきょうだいの気持ちを考えて接することが大事
ということです。
きょうだいゲンカを避けるためにできること
それでは、本題に入りたいと思います。
きょうだいゲンカを避けるために家庭で何ができるか
アメリカの親たちがきょうだいを対等に扱うためにどんなことをしているか
いくつかのアイディアをご紹介したいと思います。
子どもに部屋を与えること
ネントレ(ねんねトレーニング)もそうですが、小さい時から子どもたちに「自分の場所」を確保してあげるというのは、アメリカ流子育て方法のひとつです。
アメリカ人の家庭には、0歳児から「一個人」として扱う文化がある
そして実は、子どもが自分の部屋を持つことには、多くのメリットがあります。
家が狭い時にはこれをやってみよう
家が狭くて、子どもに自分の部屋を与えることができない場合は、家の中のどこかに、小さな場所でもいいので、ひとつの場所を決めて、その場所をその子だけの場所にしてみるということでも問題ありません。
どういう場所かといえば、例えば、
ひとつの部屋のコーナーに本棚やクッションを置き、その本棚とクッション(あるいはコーナーの壁自体も含めても可)のデコレーションを子ども自身に任せる。
あるいは、
イケアなどでよく売っているような屋内キッズテントを張って、その中をどうデコレーションするかを子ども自身に決めてもらう(親が入る時には必ずノックする)。
小さなキッズデスクを置いて、好きなものを置かせる(前提として他の家族は、その置かれたものを許可なく使わないこと)。
「子どもだけの場所づくり」で気をつけないといけないこと
家の中に「子どもだけの場所」を確保する上で、親として注意しないといけないことが3つあります。
注意点① 子どもには事前に話すこと
急にその場所を作るのではなく、お子さんに
・そういう場所がほしいかどうか
・そういう場所があれば何に使いたいか
などを事前に話しましょう。
ネイティブのママの英語音声
注意点② その場所をどこにするか、子どもと一緒に決める
もうひとつのポイントは、親が一方的に決めるのではなく、子どもと一緒に決めることです。子ども自身の場所になるので、ほぼ子ども自身が決めてもいいぐらいです。
もちろん、親からの提案があってもいいですし、一緒に話し合っても構いませんが、最終的には子ども自身に任せることです。
注意点③ 子どもの想像力を潰さない
子どもが自分だけの場所を見つけたら、社会のルールをあまり気にしないで。親も子どもも、楽しく創造力と想像力を使って作るようにします。
「ええ? でも普通はこんなことしないなぁ」とかを考えずに、皆さんのおうちなので、誰がどう思うかなどは気にせず、新しい「自分たちだけの基準」を作りましょう。
注意点④ 親ときょうだいが勝手に使わないこと(使う場合は許可をもらうこと)
これで本当にきょうだいゲンカを減らせるの?
きょうだいができると、どうしても「自分」の存在の大切さに気づきにくくなるのは事実です。もちろん、その代わりに家族が増えて、笑いと楽しいことも増えますが。
きょうだいがたくさんいても、一人ひとりにそれぞれ価値があることを見せる必要があり、そのひとつとしてできることは
あなたは立派な「一個人」だし、自分だけの時間が必要な時もある。だからこの場所を作ってあげる。
と、そういうことを伝えてあげられるのが、アメリカの親たちの上手なところですね。
「きょうだいゲンカをゼロにする」ための魔法や薬はありません。
人間ですから、お互いの思っていることや感じていることが異なりますし、衝突することだってしょっちゅうあるはずです。
大事なことは一人ひとりを「一個人」として尊重することです。
そうすれば、ひとりだけの場所を確保してあげることによって「一個人」としてリスペクトされていると実感させることができます。
また、きょうだいゲンカになった時も、子どもの年齢などで「◯◯に譲りなさい」と対応することなく、一人ひとりを「それぞれ別々の価値がある人」として接することができるようになるはずです。