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まず「子育て」の目的について考えよう
このブログでは、数多くの子育て記事と英語の語りかけの記事をアップしています。
おうち英語の記事を読んでいただければわかると思いますが、私が、アメリカ人ママとして皆さんに紹介している「おうち英語に使える英語の語り例文」には「正解のある」例文だけでなく、「正解のない」例文もたくさんあります。例えば、
(見て!蛙ね!何色?緑ね)
英語音声
こういう「色」を教える英語の語りかけ例文も紹介していますし、下のような英語語りかけ例文もいっぱい紹介しています。
(見て!蛙ね!蛙のどこが一番好き?
英語音声
パターンAとパターンBの違いは
「正解のある」情報をお子さんに与えているかどうか
というところにあります。
ここで理解してほしいことは、
世界中の親は、子どもと話す時に(言語関係なく)正解のあることと正解のないことを両方とも話す
ということ。これは、世界共通のことです。
ご存知のように、私はこのブログで「レバイン式子育て」の情報を配信しています。
レバイン式子育てとは
アメリカの教育・子育てと日本の教育・子育ての両方のいいとこ取りをした、親子の自己肯定感と思考力、クリティカルシンキングを伸ばすグローバルな子育て法です。
この子育ての基礎としては
親子で、正解のないことについて、たくさん話し合うこと
です。いわば「議論式」子育てですね。
そのため、レバイン式子育てを実践されている皆さんは、上のパターンAよりも、パターンBの方が圧倒的に多い。つまり、親子で話し合っていることが多いのです。その結果、
親と子が、それぞれのクリティカルシンキング力と思考力を毎日使って(アメリカの家族と学校と同様)、さまざまな社会的なテーマについて話し合い、意見交換していき、その結果、親子それぞれが「自分らしさをキープしながら相手に意見を伝える」スキルを身につけていきます。
レバイン式子育てを通して、多くの日本人が目指すいわゆる「グローバルな子育て」を行っている親御さんが多いのです。
こういうグローバル子育てを家庭内で行うために「正解のない」問題についてもたくさん話し合う必要があるのです。
特に日本の場合は、教育の質が非常に高く「正解のある問題」についてはほぼ学校に任せられるため、家庭では「社会に関する正解のない問題」を話し合うことのほうが大事になります。
親子で話す社会に関する正解のない問題とは?
「子どもと社会について話すってどういうこと?」とパッと聞いて分かりにくいという親御さんが多いと思います。
確かに日本では「親は子どもに教えてあげる。それは親の仕事」と思うことのほうが一般的です。しかしグローバルな子育てを行っていくためには、親の役割に関する考え方を変える必要があります。
親が「教える」のではなく「親子で社会について話し合って、子どもに考えさせる」
これは、欧米では一般的な子育ての考えです。子どもに考えさせるためには、まず、私たちの周りや社会全体で何が起きているかを知る必要があります。例えば、
- 貧困問題
- 差別問題
- 教育問題
- 政治問題
などなど。問題はたくさんあります。
レバイン式子育ては、絵本などを通して0歳児から、こういう社会問題について親子で話し合うことを前提にしている子育て法です。こういうテーマについて0歳から考え慣れているお子さんと考え慣れていないお子さんの思考力の違いは、著しいものがあります。
海外留学経験者なら一番わかると思います。
中学校もしくは高校・大学の留学生として欧米に行った日本人は「英語が話せるのに、授業やゼミのディスカッションに参加できない」という人がほとんどです。たとえTOEICが満点でも、英語で議論することが苦手だという人が多いのです。
そして国連などでも、日本は意見を述べない国として、ニュースなどでも話題になったことがあります。
やはり、多くの日本人は、小さい頃から世界や社会について考え慣れていないせいで、世界についての意見を形成しにくいのは事実です。
そのために、家庭でたくさん、社会問題について意見交換する必要があるのです。「グローバル」になる鍵はここにあります。
おうち英語はグローバルの鍵じゃないの?
今まで「子育て」の話だけしてきましたが、グローバルを目指すのであれば、子育てだけでなく、もちろん英語も習得されたほうがいいでしょう。
グローバルになるために「英語が必須」だというわけではありませんが、当然、子どもが英語を読めたり、話せたりできるほうがいい。メリットはたくさんあります。例えば、
- 世界の情報をスピーディーに手に入れられる
- 世界中の人の意見を聞ける
- 世界のいろんな人と話して自分の視野を広げられる
ですので、おうち英語をされている親御さんのことは、本当に本当にリスペクトしています。
この社会にどういうスキルが必要かを自分で考えて、そのひとつのスキルは英語であるということを理解して、お子さんの英語習得のために、様々なことを実践しています。
しかし、おうち英語でよくある勘違いもある
前置きが長くなりましたが、ここからは、この記事の本題に入りたいと思います。
私は、8年前から、私が学長として務めているレバイン式子育てアカデミーやYouTubeなどを通して、おうち英語で英語の語りかけをしているという数百組の親子さんと話したことがあります。
「語りかけ」には色々なやり方がありますが、どのやり方を実践するとしても、ひとつだけ覚えておいてほしいことがあります。
「子育て」と「おうち英語」の目的は違う、ということです。
おうち英語の目的は、英語を理解して、話せるようになることだとすると(※それぞれの家庭によって、この定義が異なりますが)子育ての目的は全く違うと誰も否定できないことですね。
例えば、このブログの軸になっているレバイン式子育ての目的は
レバイン式子育ての目的
子どもの自己肯定感と主体性を高めることです。自分の意見を素直に相手に伝えて、自分らしくて生きていけることです。
これは、英語習得と全く関係ありません。おうち英語は世界を知るためのツールであり、子育ては「人を作る」ためのものです。
この2つは、レイヤーの全く違う話なので「子育て」と「おうち英語」の2つを「一緒にしてもいい時」と「一緒にしてはいけない時」があるのです。おうち英語を実践しながら、ぜひそのことを意識していただきたいと思います。
おうち英語と子育てを一緒にしてはいけない時
お子さんの立場になって一度考えてみましょう。
英語ネイティブじゃないバイリンガルなお子さまがいらっしゃるとしましょう。そのお子さんに対して、この2つのパターンの質問を親がします。
(見て!蛙ね!何色?緑ね)
英語音声
(見て!蛙ね!蛙のどこが一番好き?
英語音声
日本語でも、3−5歳の日本人のお子さんに対してもパターンBを聞くと、パッと答えが出てこないですね。その理由は、
5歳までは、日本の多くの子どもは「自分の意見を沢山話す練習できていない」からです。
ですので、
アイシャのアドバイス
正解のない質問(簡単と思えるような質問でも)をお子さんに聞く時、もしくは、深い社会の話などをお子さんにするときは、極力、母国語で話しましょう。
英語のインプットは後でどうにかなりますが「自己肯定感」は一度落ちたら、高めることが非常に難しいのです。お子さんに意見を英語でたくさん聞いていて、お子さんの英語の能力が低いせいで答えられなければ「私は意見をなかなか伝えられない人」というふうに考えてしまうようになります。これはまさしく自己肯定感の問題です。
ですので、下のような「グローバル子育て」と関係するようなテーマについて親子で話す時には、お互いにとって話しやすい・理解しやすい・意見を伝えやすい言語を使いましょう。
- 深い気持ち(いじめられて◯◯の気持ちになった、など)
- 社会問題(ガザ地区で大変なことが起きているね、など)
- 「あなたならどうする?」的な深い意見を伴う話(絵本などを読みながら)
- 相手の気持ち(エンパシー)について考える時
おうち英語かグローバルな子育てか。どっちを優先するべき?
時間が限られている中で「英語を優先するべき?」か「グローバルな子育てを優先するべきか?」という疑問は、一日の中で何回も心の中で起きると思います。私もバイリンガル子育てをしているひとりの親として、全く同じ悩みを抱えています。
もし「どっちを優先するべきか?」で悩んだら、これだけを覚えてください。
英語は何歳からでも学べます。自己肯定感は「人の基礎」と関係することなので、あとで学ぶのは難しいことです。
もちろん、言語の取得は年齢とともに難しくなりますが、皆さんは、新しい技術が出てきた時に、頑張れば、学べますよね? 今ある技術は、全て私たちが子どものころにあったわけではありませんよね? でも使いこなしています。「ツール」というのはそういうものです。
しかし、自己肯定感は、そんな簡単なものではありません。
「自分に対して根本的に感じている価値」から始まるので、今まで価値がないと言われてきた人(もしくは意見などが無視されてきた人)が、急に20歳で『自信を持ってプレゼンをしなさい!」と言われても、急にできるわけはないですね。その「価値」をそもそも感じていないからです。
だから、悩んだ時に、私のお勧めは、
いったん英語を忘れて、子どもの自己肯定感と自己価値が高くなる親子の関係性を作ることを優先しましょう。
ということです。自己肯定感の取り戻しは、とても難しいことだからです。
あれ? アイシャはおうち英語に反対している?
そんなことがありません! 私は個人的にいろんな人におうち英語をオススメしている派です😂だって、親子で英語を楽しく学べるのだから、全然ありだと思っています!
ただ、お子さんの意見を引き出す時や、親子で深い会話をする時は、英語をインプットする時間ではないということだけ覚えておいていただきたいです。
英語も教えることが大事ですが、深い会話をすることによって、お子さんの議論する力・思考力・意見を伝える力などのようなグローバルなスキルを教えることができます。どちらとも大事ですし、テーマ次第で、分ける必要があるということだけ言いたかったのです。
長くなりましたが、よく聞かれる「アイシャのおうち英語」に関するフィロソフィーをこちらのブログで一度お伝えしたいと思いました。
ぜひ、レバイン式子育てというグローバル子育て法にご興味があれば、このブログの他の記事も読んでみてください!
私だけでなく、3年間もレバイン式子育てを実践されている多くの日本人の親御さんも、たくさん記事を書いてくれているので、いろんなアイディアがブログに載っています!