年下のきょうだいに◯◯をやっちゃっていませんか?

以前、きょうだいの「お下がり問題」として、ふたつの記事をアップしました。

  • 年下のきょうだいにお下がりをあげると個性が潰れる?(こちら
  • 「お下がりをあげたくない」と言われたらどうする?(こちら

今日はお下がりのテーマについて話しつつ、

今日のテーマ

きょうだいや他人にお下がりをあげる時に、多くの親がやりがちなこと

を、ふたつご紹介したいと思います。

きょうだいを比較していない?

例えば、5歳のお子さんと3歳のお子さんがいる、としましょう。3歳のお子さんにお下がりをあげたけどサイズが少し小さすぎて入りませんでした。そういう時、こんなことを言っちゃっていませんか?

「あれ?◯◯ちゃんは3歳の時にこれが着れたのに、なんで△△ちゃんは入らないの?」

こういうことを年下の子どもに言ってしまうと、次のようなネガティブな影響があります。

NGの理由①

 「年上のきょうだいの大きさが正しい大きさであり、あなたは少しずれている」というメッセージが年下の子どもに伝わってしまいます。

誰でもそうですが、比較されると、何となく「同じになったほうがよい」と思ってしまいます。例えば、会社で同僚の売上の実績を上司がわざわざ言ってきたら「ああ、私も頑張らなくちゃダメなんだな!」というふうに感じてしまいますよね。それと同じです。

しかし10秒間の対話だけで、これをポジティブな親子会話に変えることができます(これはレバイン式子育てでは「小さじ一杯の語りかけ」と呼んでいます)。例えば、

語りかけ①
◯◯からいただいたズボンだけど、入らないみたいね。ちょっと小さかったね。みんな体が違うからしょうがないね。
These were your sister's pants, but it looks like they're a bit too small. That's because we're all different! Everybody has a different body.

「あなたのほうが太っている」とか「なんで入らないの?」とかではなく、この5秒(本当に小さじ一杯の語りかけ)で、子どもに「世界の多様性」を教えることができるようになるのです。

多様性とは、「みんなが違うこと」を理解すること。それに「一人ひとりの違いはその一人ひとりの強みである」ことを理解する能力です。0歳から多様性の話を家庭でたくさんしてきた子どものほうが、将来的に、

  • 他人へのエンパシー(相手の気持ちを想像する能力)が高まる
  • 人とぶつかった時の問題解決能力が高まる
  • 先入観とバイアスを持たずに、誰とも対等に接することができる
  • コミュニケーション能力が高くなる
  • 一人ひとりの違いが強みであると理解できるため、自分のユニークな「価値」が分かるようになる

「◯◯ちゃんは3歳の時にこれが着れたのに、なんで△△ちゃんが入らないの?」と子どもに言ってはいけない理由は、もうひとつあります。

NG理由②

 「みんなが同じじゃないといけない」というメッセージが子どもに伝わってしまいます

日頃の生活の中でつい口にする言葉ですが「ええ!? おかしいね」などと言っていませんか?

みんな人間なので、どうしても「あれが普通で、これはあれと違うのなら、こっちのほうがおかしい」というマインドになってしまいがちです。しかし「みんなと同じかどうか」という判断基準を作ってしまうと、思考力の成長に悪い影響を及ぼしてしまいます。

簡単にいうと、こういうことです。

この思考過程は「まわりの人はどうしているか」がブーツを買うかどうかの判断基準になっているということです。

確かにその判断基準は最も簡単ですし、みんなと同じなので目立たなくて心地よいかもしれません。

でも「思考力」の観点でいうと「まわりがどうしているか」と考える前に、次のようなことについて考えたほうがいいですね。

  • このショートブーツが好きかどうか。
  • 今年、なんでショートブーツがこんなに流行っているのかな。
  • ショートブーツの長所と短所は?

「人との比較をする」行動・発言は、できるだけ子どもにしないほうがいい。自分で考えさせることの訓練のほうが、子どもの思考力アップにつながります。

ジェンダーでお下がりを決めていない?

先日、私の友だちからいわれた悩みを紹介します。

この友だちのご家族は5人家族。年長の2人の子どもは女の子で、最近生まれた赤ちゃんは男の子です。

うち、◯◯くん(赤ちゃん)の洋服が全くなくて、上の2人は女の子だからお下がりをあげられないね。すっごい困っているんだけど・・・

つまり、お子さんの性別(=セックス。ちなみにジェンダーとセックスの違いについてはこちら)で、お下がりをあげるかあげないかを決めているということです。

ついついやってしまいそうなことだと思いますが、性別しだいで、お子さんにお下がりをあげるかどうかを決めてしまうと、教育上の観点でいうと、ふたつの大きな問題が起きてしまいます。

お子さんの性別が違う時にどうすればいいかというと、性別が同じ時と全く同じでいいのです!

  • その洋服に対しての子どもの意見を聞くこと(その色やデザインが好きかどうか)
  • 子どもの個性を尊重すること
  • 子ども自身に決めさせること

このやり方と語りかけをもっともっと知りたい方は、次のふたつの記事をご覧ください。

  • 年下のきょうだいにお下がりをあげると個性が潰れる?(こちら
  • 「お下がりをあげげたくない」と言われたらどうする?(こちら

「ピンクだからこのお下がりはイヤだ」と言われたら

「ピンクだから」とか「ドレスだから」とか「黒だから」そのお下がりをもらいたくないんだ! と言われたら まず慌てないことと怒らないことです。

家庭のなかで、どれだけ「ジェンダーバイアスがないように育ててきた」と親が思っていたとしても、社会のなかでジェンダーバイアスはどこでもあります。そして、子どもの社会でも、大人の社会でも、このジェンダーバイアスは存在します。

「そうなの?」と疑問に思われている方は、まず、自分の家庭での家事分担や子育て分担を思い浮かべてみてください。子どもから見えるような家事分担が50:50になっていなければ、もうすでにその時点で「ジェンダーバイアス」を自然と持つようになってしまいます。

ですので、「ピンクだからイヤだ」と言われた時に、びっくりする前に、まずレバイン式子育てのやり方で対応しましょう。まず、しゃがんで、子どもの意見をもっとよく聞きましょう。

語りかけ②
そうなの? ピンクは好きじゃないんだ? なんで好きじゃない? ママはわりとピンクが好きだけど、◯◯くんはなんで好きじゃないかな? ママ、知りたい!
Oh, you don't like pink? Mommy kind of likes pink. Why don't you like pink?

「ピンクは女の子しか着ない」と言われたら、レバイン式子育てのステップ2である「世界や社会に関してい新しい知識」を与えましょう。例えば、

語りかけ③
ピンクを着る男の子はたくさーんいるよ!男の子とか女の子とか関係ないね。自分の大好きな色を着ればいい。
You know, lots of boys wear pink. It doesn't really matter if you're a boy or a girl. It just matters what color you really like.

まず、これだけでOKです!

もちろん、一回の会話だけではジェンダーバイアスをなくせないけど、日頃のちょっとしたチャンスを捉えて、こんな15秒間の対話(小さじ一杯の語りかけ)をすれば、少しずつ、お子さんが「ジェンダー」とか「社会の常識」を考えるのをやめて、自分らしく生きられるようになります。

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